就労継続支援B型事業所での工賃は、生産活動の収益や利用者数、通所日数などを考慮し、慎重に決定する必要があります。本記事では、工賃の計算方法や形態、評価表を活用した能力給の導入の是非、工賃規程の整備ポイントについて解説します。事業運営の健全化や利用者の意欲向上を目指し、工賃の適正な設定を行いましょう。
工賃の決め方の基本
工賃財源の算出方法
工賃を決定する際は、以下の計算式で工賃財源を明確にします:
工賃財源総額 = 生産活動の収入 – 生産活動に係る経費
- 収入:作業で得られる売上など(損益ベースで計上)
- 経費:原材料費、光熱費など工賃支払いに関係しない支出
会計は「福祉事業活動」と「生産活動」を分けて管理し、ガイドラインを参考に経費の按分を正確に行いましょう。開業前は収入を控えめに、経費を多めに見積もるとリスクを減らせます。
工賃形態の選択
工賃形態は利用者の作業意欲を高めるため、多様な選択肢を用意するのが望ましいです。
- 時給制:短時間利用の方に最適
- 日給制:一定の通所頻度がある方に適用
- 出来高制:作業の成果を直接反映し、生産性向上が期待できる
- 月給制:安定収入を提供
複数の形態を組み合わせたり、作業内容ごとに設定を変えたりすることで、柔軟な対応が可能です。
計算例:時給・日給・月給
例として、工賃財源総額が38万円、営業日20日、平均利用人数18人、1日4時間のケースを考えます。
- 時給制:
38万円 ÷ 20日 ÷ 18人 ÷ 4時間 ≈ 250円 - 日給制:
38万円 ÷ 20日 ÷ 18人 ≈ 1,000円 - 月給制:
38万円 ÷ 18人 ≈ 21,000円
工賃設定の注意点
余剰金や赤字への対応
- 余剰金発生時:工賃の増額や賞与、積立金の活用で調整
- 赤字発生時:工賃規程の見直しや、行政機関への相談を検討
特に赤字の場合、自立支援給付から工賃を補填することは原則禁止されています。
評価表を活用した能力給
評価表による能力給の導入は可能ですが、行政機関から「差別にはあたらない」との確認を得ることが重要です。また、旧労働省の通達内容を踏まえ、利用者間で不公平感を与えない設計にしましょう。
工賃規程の整備
工賃規程は利用者との契約時に必ず作成し、内容は明確かつ詳細に記載します。
- 工賃の計算方法
- 支払方法(手渡しや銀行振込など)
- 工賃形態
規程が不十分だと指摘される可能性があるため、テンプレートや例を参考に構築しましょう。
平均工賃の基準
B型事業所では、平均工賃が月額3,000円を下回ることはNGです。平均を上回る金額設定を目指しつつ、利用者の意欲を高める施策を検討しましょう。
まとめ
適切な工賃設定は事業運営の基盤です。工賃の計算方法や形態、規程をしっかり整備し、利用者が安心して通所できる環境を整えましょう。また、厚生労働省のガイドラインを参考にしつつ、地域ごとのルールにも留意してください。


